P&Iクラブの国際グループ
P&Iクラブの国際グループは、共同で保険や再保険を手配し、グループのP&Iクラブに加入している船主や用船者の海運業界の問題に関する意見を代表し、更に情報交換の場を提供するためにあります。

グループを構成する13のP&Iクラブは、それぞれ独立した非営利の相互保険組合(クラブ)で、それぞれのメンバーである船主や用船者に対して業務上の賠償責任保険を提供しています。各クラブはメンバーの中から選ばれた理事会(Board of Directors 又は Committee)を通じてメンバーによって運営され、理事会は戦略的政策的な問題に関して責任を負いますが、クラブの日々の業務運営は専任の管理者にこれを委任しています。加盟クラブ全体で世界中の外航船腹の90%以上の保険を引き受けています。


保険プール
各クラブは営業面ではお互いに競い合っていますが、大きなリスクは国際グループの下にプールした方が有利であると気付きました。このプーリングは契約的な協定によって規制されますが、そこではプールされるべきリスクと、加盟クラブ間でこれらのリスクをどのように分担するかが厳密に定められています。このプールは各クラブ保有限度額(2011年は8百万米ドル)を超えるクレームを互いに分担しあうというメカニズムになっています。5千万米ドルを超え20億5千万米ドルまでのクレームに対しては次に述べる再保険がかけられています。このプーリング・システムは一般再保険業者との契約よりはるかに高いリスクの保護を、実費で加盟クラブに提供しています。

プールの再保険
5千万米ドルを超えるクレームに対して国際グループは保険市場で再保険契約を締結し、プールを支えています。これは世界の海上保険市場で最大の単独契約であり、現在、船主に対するクレームは一件当たり20億5千万米ドルまで担保しますが、油濁事故に関するカバーは最大10億米ドルが上限となっています。用船者に対するクレームについてはこれより低い上限となります。このように国際グループは世界船腹の大部分のリスクを互いに分け合うことで、加盟クラブのための最大容量の再保険を世界で最も良い条件で確保することが出来ます。

また国際グループはクレームをそのプーリング・システムで負担しあっているため、損害防止活動や品質基準の維持などはメンバー全体の共通の利益となります。

代表機能
船主と用船者の責任やその保険に影響を与えるような新たな条約や立法に関して、国際グループでは各クラブのメンバー船主や用船者の利益を代表して効果的に発言することが出来ます。グループは国家政府に対するだけでなくIMOやUNCTADのような国際的組織に対してもこの機能を発揮し、船舶業界を代表する代弁者となっています。

情報交換
国際グループはクラブやメンバーが関わる問題についての情報を共有する場所でもあります。特定の港で発生している問題や特定の貨物輸送に関してばかりでなく、油濁問題や人身事故などの一般的諸問題も情報交換しています。

運営と管理
国際グループに関する戦略的政策的な問題は加盟クラブが個別に考慮できることになっています。特定の問題の処理に関して加盟各クラブがそれぞれの管理者にどこまで権限を委任するかはそれぞれのクラブの理事会が決定します。

日常の業務は国際グループ加盟クラブの管理者を通じて処理されます。より複雑な問題については委員会を開き、各クラブが考慮するための勧告をまとめます。

プーリング契約の監視は国際グループ加盟クラブ管理者やその代表者が共同でこれにあたり、各クラブが提供するカバーの変更や拡大の提案を検討し、プールされるべきリスクの継続的な適合性を査定します。

同様に、加盟各クラブが他クラブの財政力を監視できるようにするため、国際グループは各クラブの会計方針を審査しています。また加盟クラブ間で財政的に公平を規すように、プール・クレームを共同負担する契約機関としても機能しています。彼らは最終的にプール再保険を詳細に調整しますが、その再保険契約自体は、全加盟クラブを代理する保険ブローカーを通じて毎年締結されています。

International Group Agreementの歴史
1920年代 英国の7クラブが「相互に既存メンバー船社に対し低料率提示による勧誘を行わない」という了解(Understanding)が交わされる
1960年代 ロンドン・グループ加盟クラブ管理者間でIGAが書面合意される
1976年  ロンドン・グループから国際グループへ名称変更
1979年  国際グループによるプール制を含む新たなIGA協定書締結
1981年  欧州委員会(EC)競争当局(DGIV)に独禁法適用免除を申請
1985年  EC、ローマ条約第85条の適用免除協定として承認(IGA 85)
1995年  国際グループ、免除の更新をDGIVに申請
1997年  ECが競争原理導入を強く主張、国際グループの粘り強い協議が続く
1999年  EC、競争法適用免除を10年の期限付きで承認(IGA 99)

国際グループについてはこちらをご参照ください。